キミの一番になりたい

 
「俺……」



颯が言ってくれるまで私は黙っていた。


本当は笑って誤魔化したい。

さっきの話、って話題を変えたい。



でもそれじゃあ前には進めないから。





「……俺、莉子と会う前に真穂と会ってたんだ。それで……キスされたしやり直したいとも言われた」



そっか……、真穂さんもそういう気持ちだったんだ。


だったら私に勝ち目なんてないのかも。




「でも……」



地上で音楽が流れている中でそう切り出した颯の声はとてもはっきりと私の耳に届いて、私は落ち込んでいた顔を上げた。


暗い中で、静かにお互いの目を見つめ合う。



その時だけ時間が止まったように感じた。




「俺にはもう気持ちはないからって言った。はっきり気がついたんだ、莉子のことが好きだって。……だから、








俺の本物の彼女になってくれないか?」