キミの一番になりたい

 
広くて大きくて、久しぶりにこんなにはっきりと海を見たかも。


夕日が水面に入る手前だったからオレンジ色で何だか体が温かくなった。



その後から颯ものんびり歩いてきて隣に立つ。





「すごいはしゃいでんな?」


「だって海だよ、海っ‼」



満面の笑みで返すと颯も軽く微笑んだ。



「良かった、連れてきて」


「うんっ!」



そのまま二人で夕日が沈むまで黙って眺めていた。











「寒いし帰ろうか」



一番星が輝きを放つ頃、颯が切り出した。



「うん。でも……一つだけ寄りたい所があるの」


「寄りたい所?」



私は颯に頷いて指を差す。


そこには大きな観覧車がイルミネーションのように輝いていた。



「ダメ、かな?」


「……行くぞ」



そう言って颯は私の手を取って歩きだした。