きっと圭太にも素敵な人が現れるよ。
心からそう願った。
雲の隙間から陽が射し込んできて、何だか私の心と同じ気がした。
「莉子ッ!」
圭太が見えなくなるまで見送っていると、後ろから聞き慣れた私を呼ぶ声。
やっぱり来てくれた。
振り返ると人込みを掻き分けながら颯が走ってくる。
私の目の前まで来ると膝に手をあてて荒い呼吸を調えた。
「遅れてごめん‼」
謝る颯の額からは汗。
それだけで、一生懸命走ってきてくれたんだね。
私は何も言わず、バックからハンカチを取り出して颯の額にあてる。
颯はただそれに驚いている。
「気にしてないよ。来てくれて良かった」
そう言って笑うと、颯はすごく悲しそうな顔をしてハンカチを持つ私の手を掴んだ。



