キミの一番になりたい

 
私は遠くを見つめてあの頃を振り返る。

楽しくなかった事を思い出すと自然と顔が歪んでいくのが自分でもわかった。



「俺、この街好きだよ。それにこの景色も」



慰めてくれてるのかな。

なんか心が温かくなる。


不思議だね……


颯君のたった一言がこんなにも私を嬉しくさせてくれる。



「私もここから見える景色好きだなぁ」


大きなビルがなくて遠くの方まで見渡せて、空がこんなにも広く感じる。


颯君も私と同じ気持ちなんだ。



「ねぇ、また屋上に来てもいい?」


さり気なく聞いてみた。



「別に」



また、口数減っちゃった。

でも、いいんだ。


だって今日話しただけでこんなにも距離が近く感じるんだもん。