「じゃあ、もう俺と付き合うの嫌になったとか?」
「ちがっ……!」
「なら何でそんな顔すんだよ‼」
ーービクッ
怒りに任せてフェンスを殴る颯の声と音に、思わず目をつぶった。
こんなに颯を怖いと思ったことはなかったから、無意識のうちにぽろぽろと涙が零れる。
「……す、きだけど、不安なんだもん。まだ『仮』だから嬉しいのと、同じくらい好きになってくれるかわからないから……不安なんだもんっ!」
ためていた言葉が後から後から溢れだす。
そのまま床に座り込んだ。
今の私はまだ『仮彼女』だけど、想っているだけじゃ辛すぎる。
想うことに疲れちゃうよ。
颯は黙ったまま。
私のすすり泣く声だけが屋上に広がる。
ーーギュッ
と、爽やかな香水の香と温もりに包まれた。



