「じゃあ、私の事も莉子って呼んでねっ!」



私は嬉しくなってそう言っていた。



「あ?あぁ、俺のこと呼び捨てにできたらな」


「えぇっ!?そんなの……」



ニッと意地悪く笑う颯君に『そんなのズルい』って言おうとしたけど、続きを言うことができなかった。



「ど、努力します」


顔が赤いのがバレないように顔を逸らして答えるので精一杯だったから。




その後私も大分落ち着いてきてお互い黙ったままだったけど、さっきよりは全然辛くなかった。





聞いてばっかりじゃなくて今度は私から話そうかな。


私は一度深呼吸してから、まっすぐ前を見つめて話し始めた。



「……あのね、私二年間ぐらい親の転勤で東京に住んでいたの。でも東京は私にとって息苦しい所でしかなかった」



颯君は黙って私の話を聞いている。



「だから東京にいる時にいつも空を見て考えてた。空を自由に飛べる翼があればなあって……。
そんな時、お兄ちゃんが紙ヒコーキを作ってくれたの。私の代わりに自由に飛ぶ紙ヒコーキを見ているうちに気分が軽くなっていったんだ」