「何か食いたい物ある?」
しばらく動き回る人混みを眺めているとふいに颯が立ち上がった。
「買ってくるよ。何がいい?」
ここは行為に甘えちゃった方がいいよね。
頭の中で食べたい物を想像する。
「たこ焼きとりんご飴」
「OK。そこで待ってろ」
そう言って、颯は人混みに消えていった。
私は颯が帰ってくるまで今日の出来事を回想していた。
たった一日なのにその思い出は溢れる程。
それは颯とだから作れた思い出達ばかり。
目を閉じて今の幸せを噛み締めた。
その後、戻ってきた颯と食べたり話したりして人が減るまでそこにいて。
ゆっくり歩いて家まで送ってくれた颯と別れた。
『付き合わせちゃってごめんね』って言ったけど、逆に『バーカ、莉子は気使いすぎ』って言われてしまった。
だけど今日のこの日を私は一生忘れないだろう。
だって颯との二人っきりの初デートだから……。



