あんまりしつこく聞いちゃまずかったかな。
私はこの空気に耐えられず悲しくなった。
「名前」
「え?」
最初に沈黙を破ったのは永瀬君だった。
言ってる意味がまだわかっていなくて『?』を浮かべていると、
「颯でいい」
「そう?」
永瀬君は首を縦に振る。
それって、下の名前で呼んでいいって事だよね?
小さくだけど名前を口づさんでみる。
「そう、くん」
うわっ、なんか恥ずかしい。
「くんいらねぇし」
「っで、でもすぐには慣れないよ」
自分で言って照れている私に拍車をかけるように颯君に言われたけど、やっぱり恥ずかしくて下を向く。
でも、これからは下の名前で呼んでいいんだ。
それが今の私には一番嬉しい。



