境内の前で二人でお賽銭を投げ入れて手を合わせ、目を静かにつぶって心を落ち着ける。
今年こそは颯の本当の彼女になれますように。
後、ずっと一緒にいられますように。
そっと片目を開けて隣を盗み見ると真剣な顔で目を閉じている颯。
その顔を見て改めて自分が仮でも彼女なんだと思って嬉しい反面、不安になった。
このまま私の一方的な想いにならないだろうか。
颯が私を好きになってくれる日が本当に来るのだろうか、とか。
今からこんな弱気じゃダメなんだけどさ。
「行くぞ」
「あ、待って」
行こうとしていた颯の隣にぴったり寄る。
もう颯と私の手が繋がれる事はなかった。
……はぐれたらまずいしちょっとくらいいいよね?
さすがに自分から繋ぐ勇気はなくて、颯の服の裾を気づかれないように掴んで歩いた。
……っ痛!
しばらく屋台も見ながら歩いていると足に痛みが走り、思わず顔が歪む。
やっぱ無理して下駄履いてくるんじゃなかったなぁ。



