「莉子のこと好きかと聞かれたら……わからない。自分の気持ちがわからないんだ。
だけど一緒にいると落ち着くのは確かで。だから……」
いったん言葉を切って私を見据えた。
緊張して握る手に力がこもる。
「一ヵ月間時間がほしい」
……?どういうこと?
「一ヵ月間お試し期間として俺の彼女になってくれ。それではっきり自分の気持ちにケリをつける」
お試し、彼女?
それってつまり……
「付き合ってみるって事だよね?」
確かめたくて颯の顔を覗き込めば、少し頬を染めて外方を向いた。
それが何だか肯定しているように見えて口元が緩む。
だってお試しかもしれないけど、実質は彼女になれるんだよ?
夢みたい。
「私、絶対好きって言わせてみせる!」
「フッ、上等」
その日から私は颯の『お試し彼女』になったのです。



