街はクリスマス間近のため様々な出し物とイルミネーションがライトアップされている。



サンタの姿をしてケーキを売る人、プレゼントを買うためのお客さんをトナカイの着ぐるみで呼び込む人。


それに街中クリスマスソングが流れていた。



そんな楽しそうな風景を眺める暇もなく通り過ぎていた。




走るたびにハアハアと真っ白い息が口から出ていく。



疲れては立ち止まり、また思い立って走り出してまた立ち止まり。


なんだか晴れない胸のもやもやを消すように私は走っていた。






なんか変な風に出てきちゃったけど、大丈夫だったかな。


冷たい空気に次第に自分の心も治まってくる。



あの時の真穂さんの驚いた顔や颯の辛そうな顔が、今でも頭に浮かび上がってきていた。



わかっていたことなのに。


あの二人に付け入るスキなんてないことくらい。



それでも私はほんの僅かな隙に期待をしてた。


そうであってほしいと願わずにはいられなかったんだ。