「…………」
……あれ?
話し声がする、颯誰かと電話してるのかな?
そっと開けて中をうかがうとやっぱり話し声がする。
私は何となく気づかれないように中に入った。
ドアが少し開いているため颯の部屋から廊下に光が漏れる。
そっと近づいて様子をうかがおうとした。
「悪いな、真穂」
『まほ』
今、真穂って言ったよね?
「気にしないでよ。幼なじみじゃん。風邪の時はお互い様」
「そうだな」
真穂さん来てるんだ。
昔からこんな風に風邪の時も来たりしていたのかな。
やだ、やだよ……
二人の会話がやけに楽しそうに聞こえて胸のあたりが苦しくなる。
その場から動くことができず、私の心には嫉妬という大きな染みがどんどん広がっていった。



