そんな私に悪いと思ったのだろう、一瞬顔をそらしてこちらを向く。
次に見た顔は優しい笑顔で、でもその裏に悲しみが現れているようだった。
「父さんは仕事。……俺ん家父子家庭なんだ」
「お父さんと二人で暮らしてるの?」
「あぁ」
でもそれにしたってお父さんが生活しているような感じには見えない。
「出張多くて滅多に帰ってこないんだよ」
私の疑問をすぐに答えてくれた。
私と同じ。
家で独りぼっちなんだ。
「寂しくない?」
「慣れてる」
慣れるものなんだろうか。
ううん。
毎日こんな広い家に自分しかいないなんて寂しくないはずないよ。
私だって両親が二、三日いないだけで寂しいもん。
颯はあんまり人に心の内を見せないけど誰かが支えになるべきだ。
私がその支えになってあげたい。
「もし独りでいたくなかったら私を呼んで?私はいつでも颯のそばに行くから。支えになるから」



