「ううん。私が無理言ってやってることだから。
それに怒ってるわけじゃないの。ただ颯は自分に無関心すぎる。だから……」
いったん言葉を切って見つめると、私の視線に気づいた颯と目が合う。
「さっきも私に風邪をうつさないために『帰れ』なんて言ったんだよね?」
水に浮かぶ氷がぶつかって音をたてる度に部屋に響き渡る。
颯は何も答えなかった。
「それと、一つ聞いてもいい?」
「……?何だよ」
躊躇う姿に颯は先を促す。
「家族の人、誰かいないの?」
私は言葉を選びながら話しだした。
それを聞いて颯の顔が曇る。
やっぱり聞いちゃまずかった事かな。
「ご、こめん。風邪ひいてるのに家に一人とか心配だったから。言いたくなかったら言わなくていいし」
気まずい雰囲気を消そうとわざと明るく話した。



