「昨日の夜から怠くて、ケホッ……何もしてない」
そのまま起き上がろうとしたので私は黙って颯の体を押し返す。
私が目だけで静止するよう訴えていたので、颯はおとなしくベッドに横になった。
私ちょっと怒ってるかも。
いつの間にかいつもより声が低くなっている。
「昨日って、ご飯は?」
「食べてない。寝てれば治ると思ったし」
「そんなのダメだよ‼」
ちゃんと栄養取らないと風邪だって治らない。
学校でしか颯に会うことができないのに。
神様はどれだけ私をイジメれば気が済むのだろう。
「とにかく熱だけでも計って?薬は何か食べないと飲めないから私が今から作るよ」
私は体温計を渡して、タオルを裏返しにする。
「わりぃな」
脇を押さえながら颯が天井を見つめて言った。
心配かけた事を私が怒っているんだと思ってるんだ。



