あまりの多さに目をパチパチさせたけど、近寄ってみればどれも埃を被っている。
今は誰も使ってないみたい。
今度は向かいの部屋を覗くとそこは寝室だった。
カーテンで締め切られていて薄暗い。
やはりそこも人が暮らしている気配は感じられなかった。
どういうことなんだろう?
このままじゃ颯を一人にして帰れないし……聞いてみよう!
そう決心して颯の部屋に向かった。
ーーコンコン
「颯、入るね」
返事を待たずにドアを開けると、顔こそ赤いものの寝ているようだった。
そっと近寄りギュッと絞って額にタオルをのせる。
「……莉子?」
のせられたことに気づいた颯がうっすらと目を開けた。
「起こしちゃってごめんね。熱、計った?薬は?」



