キミの一番になりたい

 
「じゃあ、俺寝てるから。適当にゆっくりしてけ」



キョロキョロしている私にボソッと呟いて奥の部屋に入っていく。



そうだ。私、看病しに来たんだった。


消えた先を追いかけてドアからそっと覗くと、ドアを背にしてベッドで寝ている。



もしかして寝てるだけなのかな。


パタンとドアが閉まるのを確認してから台所へ向かう。



風邪をひいたらまずはタオルで冷やして熱計って……


桶に冷凍庫から出した氷と水を入れ、引き出しに入っていた体温計と風邪薬を持って颯の部屋に行こうとした所でふと辺りを見渡す。




颯が風邪ひいて寝込んでるっていうのに家族いないのかな。


それにしても何か様子がおかしい。



よくよく見れば颯以外に誰かがいるような気配がない。


洗濯物も颯のだけ。


食器もそんなに使ってある形跡がなかった。



それが気になっていけないと思いつつも他の部屋を開けてみる。


書斎だよね?



颯の隣の部屋は、窓の前に机と周りにたくさんの本が棚にズラーッと並べてあった。