「離せよ」
弱っているせいかドアは簡単に開かれた。
やっぱりこのままじゃダメだよ。
「やだ。看病ぐらいさせて?」
「…………」
私の必死の抵抗に諦めたのか、ドアノブを握る颯の手が離れる。
「颯?」
「好きにしろ」
そう言って部屋の中へゆっくりと入っていく。
これって入っていいってことだよね?
「おじゃまします」
私もそっとドアを閉め、躊躇いながらも颯の後を追いかけた。
部屋は3LDKで、外見で想像していたようにすごくおしゃれな造りになっていた。
いらないものも置いていないせいかすっきりとしていて、いかにも颯の家って感じ。
……でも、変だな。なんか違和感がする。
それが何だか私にはすぐにわからなかった。



