ーーガチャ
「はい。ゴホッ……どちらさま?」
ドアの開く音がして振り向くと、顔を真っ赤にした颯が出てきた。
ジャージ姿で、寝ていたのか髪が乱れている。
「莉子……ど、して?」
颯はまさか私がいると思っていなかったのか、目を丸くして驚いている。
私も諦めていたドアから待っていた人が現れて一瞬焦った。
「ごめ、風邪だって話し聞いて心配で」
颯は話している間も辛そう。
呼吸が乱れて苦しいのか壁にもたれかかっている。
私はさっきのドキドキなんかより今は心配の方が勝っていた。
「私、何か……」
「帰って」
「……え?」
今なんて?
「帰れって言ったの」
そう言ってドアを閉めようとする。
「ちょっ!?待っ……やだ!私、帰らない‼」
私は慌てて閉まるドアに手を伸ばした。



