キミの一番になりたい

 
走り出した私の背中に向かって理乃が『いってらっしゃーい』と手を振る。


それだけで元気が出た。



ありがと、理乃。



私はいつも帰る道とは違う方へ向かって走り出した。





















「ここかな?」



あれから休むことなく走り続けてここまで来た。


運動部でよかったぁ。


うっすらと出ていた汗を拭い呼吸を整える。




辺りは住宅街で高いマンションがいくつも建っていた。


理乃に教えてもらった住所によると確か……ここのはず。




立ち止まって見上げると、目の前には他の建物の中で一番であろう高さのマンションが建っていた。


外観も手入れがきちんとされているのかきれいで、外壁は落ち着いた薄いグレー。



それに監視カメラも付いてるみたいで明らかに高級そうな所だった。




なんか場違いな感じがして緊張するなぁ。


中に入ってえっと、颯の部屋は501だから……



エレベーターの前に立ち[5]を押す。




しばらくしてポーンという音とともに扉が開き、それにおずおずと乗った。