「もう帰ろう。皆もいないし」
「そうだね」
お互いに帰る支度をして教室を出る。
途中で委員会に出ていた理乃とばったり会って、二人で帰っているのをからかわれつつも、他愛もない話をしてバイバイした。
理乃もいろいろと忙しいからな。
走っていく後ろ姿を見ながらそう思った。
雨は上がったものの道路には大きな水溜まりがいくつもある。
それが雲の隙間から覗いた太陽の光を反射して眩しく光っていた。
小学生が列になって水溜まりに長靴で入りながら帰ってく。
先頭にいた上級生らしき女の子が注意しても、またやり始める姿が微笑ましかった。
「テスト終えた感想は?」
「たぶん留年は免れそう」
「そっか、よかった~」
緩んだ顔は安心だという合図のようで、私もホッと胸を撫で下ろした。
「莉子は大丈夫だったか?」
「うん。大丈夫!気にしてくれてありがとう」



