「じゃあ、後ろから前に回せー」
先生の声で後ろからプリントが回される。
人数分あるのを確認して先生が出ていく姿を見送ると、皆は次の日本史のテスト勉強を始めた。
その波に逆らって私は前で髪の毛を拭いている颯に声をかけようとしたけど、教科書を開いて勉強し始めたのを見て止めた。
とにかく今はテストが終わるまでそっとしておいたほうがいいのかも。
私も座り直してノートを開く。
そしてそのまま無事にテストは終わりを告げた。
「颯、いったい何があったの?」
放課後、濡れたままでは風邪をひいてしまうのでジャージに着替えてきた颯に話しかけた。
教室にはもうほとんど人はいない。
テスト最終日とあってか、休みだった部活も始まり外は野球部のかけ声とバットの音が響いていた。
「あぁ、……ちょっと」
「ちょっとじゃわからないよ!すごく心配したんだからね」



