「すいません。テストを受けさせて下さい」


「そんなことよりずぶ濡れじゃないか」


「時間がないんです!お願いします!」


「わ、わかった」



こうしている間にも時間は短くなっているのを感じて颯は先生に頼んだ。



その迫力に先生も慌てて問題用紙と解答用紙を手渡す。


それを掴んで、颯は自分の席に座って急いで解き始める。



私はそれを黙って見守っていた。






先生はそのままだと風邪をひくと思ってか、他の先生を呼んでタオルを持ってきてもらいそれを颯に被せた。


真剣すぎてタオルの存在には気がついてないようだけど。



苦笑いする先生が私に気づき『心配するな』と口ぱくで話して教卓へ戻っていく。




皆も時間が迫ってきていたため視線をいつの間にか机に戻していた。











ーーキーンコーンカーンコーン


休むことなく右手を動かし続ける颯を見つめながら、終了のチャイムが校内に響いた。