開始してから四十分、教室には紙をめくる音と、カリカリと書いている音だけが響いている。
もうすでに一通り終わらせた私は、はぁとため息を吐いて窓の外を眺めた。
雨の他に強く吹く風で教室の窓は大きな音を響かせ揺れている。
視線を颯の席へと向けるけどそこはまだ空席のまま。
その雨音が余計に私をハラハラさせた。
残り時間は二十分しかない。
もう終わってるし探しに行こうかな。
一度教室を出れば時間になるまで入ることはできない。
自分の答案をしっかりと確かめて立とうとしたその時だった。
ーーガラッ
「すいません!遅くなりました!」
「颯‼」
「永瀬! 何してたんだ!?
テストはもう始まってるんだぞ!」
ハアハアと息を切らしてずぶ濡れになっている颯がドアの前に立っていた。
私は思わず立ち上がる。
教室の視線が一気にプリントから颯に集中していた。