その日、一限目の授業が始まっても永瀬君は来なかった。


彼の席は私の右斜め二個前。

荷物はあるってことはどこかにいるはずなんだけど……。



授業中でありながら黒板を見ずにぼーっと空席を見つめる。


もしかしたら昨日みたいに屋上でサボっているのかな。



もしこのまま昼まで来ないようなら昼休み屋上に行ってみよう。

私はそう決めて意識を無理矢理授業に向けた。









ーーキーンコーンカーンコーン


昼休みを告げるチャイムで皆が席を立ったりお弁当を広げたりし始めた。

理乃もこっちに来る。



「莉子、お昼食べよ?」


「うん」



私たちはいつもお弁当だから食堂には行かない。

それに食堂って人が多いから行く気も失せるんだよね。



お弁当を広げると、私はいつもの二倍早く食べ始めた。

理乃は唖然としてこっちを見ている。