「うぅ、寒いっ!」
北からの風が室内で温まっていた私の体を冷やしていく。
暖房がきいている教室に早く戻ろうっと。
私はお目当てを探すべくキョロキョロと辺りを見渡した。
「探したんだよ?早く教室に戻って勉強しよ?」
「ん~あと少し」
それを何回聞いたことか。
案の定いつもの場所で寝ていた颯は全く動こうとする様子がなく、仕方なく隣に腰を下ろした。
周りには彼が先程まで折っていたであろう紙ヒコーキが置いてある。
「飛ばしてもいい?」
返事を聞く前に私は夕日に向かって飛ばした。
どっちにしろ答えてはくれないから。
紙ヒコーキは風に乗ってゆっくりと空を飛んでいく。
そしてフェンスを乗り越えて裏庭へ下降していった。
今日は結構飛んだ方だったかな。
チラッと颯を見たけど目をつぶって寝てるようだ。



