キミの一番になりたい

 
「すまん、すまん」



私の声に、ようやくいた事を思い出してくれたみたい。


颯に向けていた体を一度こちらに向ける。




「実は、出席日数も足りないし今度のテストで八十点以上とれないと留年になりかねないんだ」


「りゅっ、留年!?」



颯はうんざりした顔で私から顔を背けた。



全然知らなかった。


まさかそんなに危ない状況まで来ていたなんて。



私一緒にいたのに何で気づかなかったんだろう。




「だから自分の勉強のついででいいから教えてやってくれ」



そんなの手伝うに決まってる。


私に何かできるならしてあげたいもん。




でも、


「私はいいですけど颯は……」



チラッと目だけで颯を見ると、あからさまに嫌な顔をした。



本人が嫌なのに私が図々しく教えることなんて無理だよ。