「まぁ、また永瀬の事でも考えてたんでしょ?」
「なっ。それは、そうなんだけど……」
理乃に図星をつかれ動揺する。
私って顔に出やすいのかなぁ。
「恋もいいけど今はテストに集中しなよ?お互い楽に行ける大学じゃないんだから」
「うん。わかってる」
「そ?ならいいけど」
それっきり理乃は一度もこちらを向くことなく、教科書を机に広げて勉強を始めた。
さて。私も勉強しようっと!
そう思い自分の机で参考書を開いた。
理乃は国立大志望。
将来は医者になりたいんだって。
結構厳しいみたいだけど諦めないのが理乃のすごいトコ。
それぞれが勉強する中、教室の雰囲気もテスト一色になっていた。
……で、何で颯は戻ってこないのよ。
一限の鐘もなり先生も来てるというのに、教室のドアは一向に開かない。



