「ちょっ!?そんなので叩かないでよー!痛かったんだから」
「朝からボーッとつっ立ってる誰かさんに言われたくないです~」
理乃はケラケラと笑いながら教室に入っていく。
「もう。たんこぶできたら理乃のせいだからね」
「はいはい」
あっさりと騒ぐ私をほったらかしにして椅子に座る。
ちょっとは加減ってものを知りなさいよね。
私は頭を擦りながら理乃の跡を追って席に座った。
私たちとは逆にあの日理乃は圭太と何かあったようで、でもそれは良い事ではなく別れるまで理乃の顔は晴れる事はなかった。
心配だったけど聞いてほしくなかったみたいだし。
メールでも『落ち着いたら言うから』と返されてしまった。
次の日会ったらもういつもの理乃に戻っていたから聞くのは止めにした。
言いたくなるまで無理には聞かない。
「……んで?ボーッとしてた理由はなんだったのさ」
鞄から必要な教科書を取り出しながら、私の方は見ずに理乃は聞いてきた。



