憂鬱な気持ちを引きずって私は目を擦りながら教室のドアを開けた。





ーードンッ


「ぶっ!?」



ったぁ~。


朝から思いっきり誰かにぶつかってしまった。



鼻を押さえながら前を見ると広い胸。

学ランだから完全に男子だ。



謝ろうと私はゆっくりと顔を上げた。





「大丈夫か?」


「颯っ!」



なんとぶつかった相手は颯だったらしい。


眠たそうに欠伸をしている姿に少し笑ってしまった。



何だか颯らしい。


それに私と同じ。





「今日は早いんだね?」


「あぁ。テストも近いしな」



そう言って私の横を通り過ぎて廊下へと出ていく。



所々で話している生徒に隠れて見えなくなるまで、私はその後ろ姿を黙って見送った。