「颯あのね……」
「ん?」
うっ。面と向かって言いにくい。
でも、ちゃんと言わなきゃ。
握っていたためか手のひらにはじんわりと汗が出ている。
私の気持ちとは裏腹に何も知らない颯は、頭の上に『?』を浮かべているようだった。
「実は借りてたカーディガン返そうと持ってきたんだけど、さっき落とし……ってそっ、それ!」
私は颯が持っている見覚えのある紙袋を今さらだけど見て驚く。
だってそれは私がずっと探してたモノなのに、まさか本人が持っていたなんて。
見つかって本当によかった。
「ん、これ?莉子がいた場所にあったんだ。見覚えのある袋だったし、もしかしてと思って持ってたんだ。
……そっか、俺に返すヤツだったんだ。ありがとな!」
颯は袋を上げてニッと笑う。
「ううん。私こそうっかり落としちゃってごめんなさい。
あと、貸してくれてありがとう」



