キミの一番になりたい

 
最後の一言で私はゆっくりと手を離した。



「ごめん。すぐ戻るから」




申し訳なさそうに私を見てから、颯は真穂さんの元へ走っていった。


私はその後姿をただじっと目で追いかける。




颯は彼女の腕を掴んで引き止めた。


彼女も颯だとわかって何か話しているよう。




ぽつんと一人取り残されている状況でただ動くこともできずにいた私。


二人が話しているその光景を見ているだけで辛かった。




これを見て待ってろって?



颯はなんにもわかってないよ。


私の気持ちなんてこれっぽっちも。




颯は泣いている彼女を宥めている。






――……えっ?


「う、そ……」




信じられない光景だった。


颯が彼女を抱きしめている。






私は見ていられなくて必死で反対の方向へ走りだした。