「あっ。ねぇ、観覧車乗らない?」
前方に見えてきた観覧車を指差しながら颯を見る。
上からの眺めは最高だろうなぁ。
「ん?まぁ、いいけど」
「じゃあ決まりッ!」
私は颯を半ば引っ張るようにして観覧車へ向かった。
そうだ乗ってる時に借りたカーディガンも返そう。
私は手に持っていた紙袋の中を見つめる。
ちょっと遅くなっちゃったけどクリーニングにも出したし、お礼にクッキーも作ってきた。
料理の腕はイマイチなのにお菓子作るのだけは得意なんだよなぁ。
喜んでくれるといいんだけど。
と、急に体が後ろへグイッと引かれた。
「ひゃぁ!?」
颯が立ち止まったらしい。
「どうしたの?」
聞いても私の声が聞こえていないのか違う方を見ている。



