颯の顔は見えないからどんな反応をしているのかわからない。
怒らせちゃったかな。
私は黙ってついていった。
その扉は一発で正解だったらしい。
『出口』と書かれた文字と大きな扉が見えてきた。
バンッと開けると、眩しい光が私たちを襲う。
あまりにも眩しかったので私は手で目を隠した。
やっと出られた。
「出れたみたいだな」
同じことを颯も考えていたみたい。
「颯のせいでさらに怖かったよ」
私は頬を膨らまして颯を見た。
「悪い悪い」
言葉は謝ってるけど顔は笑ってる。
悔しいけど惚れた弱みってコトで。
「しょうがないな。許してあげる」
『いいよ』って言うだけなのに自分でも素直じゃないなと思う。
許してもらえたことで、颯がはにかむような笑顔になり胸がキュンとなる。
いつまでもこうしていられたらいいのに。
でもそんな私の思いがすぐに消え去ることになるなんて、この時は思いもしなかった……



