中は真っ暗で何も見えない。
入った瞬間手は離れていたので、咄嗟に私は前を歩く颯の服の裾を掴んだ。
「何も見えなくない?」
「そうだな」
掴まれていることは気にならないのか、そのまま進んでいく。
辺りからはうめき声が出ている。
「う"ぅ"ー」
「おっ、驚かさないでよー!」
颯は面白半分に私を脅かそうと幽霊と同じ声を出してくる。
びっくりするからマジでやめてよ~
私はすでに限界に近かった。
その後も死人やお化けや人形たちの出現で、『キャー』『ワー』と騒ぐ私。
颯は全く動じていない。
むしろ一緒に脅かしてくる。
なんで平気なのよ?
っていうか、こんなに怖がっているのにひどくない?



