「行くぞ」



私は歩きだした颯の後をついていった。




ーードンッ


「すみません」



さっきより大分混んできて、人の多さで度々ぶつかってしまう。





――……えっ?



グイッと急に腕を引っ張られた。



「はぐれるから」



そう言って颯は私の手をぎゅっと握って歩きだす。




う、うわっ!?私、颯と手繋いでる!


夏でもないのに顔が真っ赤な私。



でも、颯は平気そう。

気にしている様子もなく前を見て歩いていく。



そんな颯とは正反対に落ち着かない私。


冷たい私の手とは正反対に暖かい颯の手。


緊張しすぎて握られている手を離してほしいけど離してほしくない。



このドキドキが颯には聞こえませんように。




そう心の中で唱えるのが精一杯だった。