あの時の目は穏やかで吸い込まれそうなほど澄んでいた。
やっぱり大好きだな。
バーが上がると、颯はサッと立ち上がる。
「結構おもしろかったね」
「あぁ」
そう答えたものの颯の顔は浮かない。
やっぱ無理して元気づけてくれてたのかな。
歩いている途中で、私は颯を引き止めた。
「ねぇ、喉渇かない?あそこにお店あるし少し休憩しよう?」
「えっ、おい……」
颯の返事も聞かず、半ば強引にベンチへ引っ張っていった。
「はい」
颯を座らせて飲み物を買いに行っていた私は、持っていた紙コップを渡す。
「……オレンジ」
「えっ?あ、ごめん。何が好きかわからなくて」



