「何回も聞くなよ。俺は構わない」
強がっているように見えたけど、空気を悪くしたくなくてそれ以上は何も聞かず乗り場へ向かう。
「二名様ですか?チケットを拝見いたします」
乗り場でチケットを見せて前から二番目の位置に座り、しっかりとバーを下げて確かめてもらう。
全員の準備ができているかどうか確認している間に、嫌な緊張が襲ってきた。
自分から勧めたけど、今になって後悔してきたみたい。
「なんか、怖いね」
「おいおい。今さら無理だろ」
「うぅ。そうなんだけど……」
呆れ顔でこっちを見る颯。
ホントに申し訳ない。
発車の合図が鳴り、ゆっくりと動きだした。
ーーガタン、ゴトンッ
線路は始めから急激に上り始める。
このジェットコースターは最初から一番高い所まで上って急下降する仕組みで、上るにつれて下の景色がだんだんと小さくなる。



