「なっ、な、何だよ急に」
圭太は思いっきり動揺しているようだ。
言葉がしどろもどろになっている。
「だって彼女いるの見たことないからさー。
今日だってたくさんの女の子がいたのに……あ、やっと出れたぁ」
人混みがようやく減った所まで来て立ち止まってホッと一息吐く。
「気になる?」
「へ?」
急に話し出した圭太に顔を上げる。
「―――……っ!」
真剣な顔で私を見つめる圭太に何も言えず息を呑んだ。
握られている手がさらに強まる。
急にどうしたんだろ?
いつもの圭太はそこにはいなかった。
「だ、だって彼女いないとか心配じゃん」
適当な言葉でかわしながら、私は目を合わせることができず下を向いた。
でも、圭太からの視線がビシビシ伝わってくる。



