一気に現実に引き戻された。
そうだ屋上に来て、それで……
つい永瀬君の肩に頭を乗せて眠ってしまったらしい。
私は至近距離にびっくりして、出した変な声のせいで恥ずかしくなって口元をおさえた。
「別に」
永瀬君はすくっと立ち上がってホコリを叩いた。
いつもと違う重みに背中を見れば、肩に学ランが羽織ってある。
「これ……」
「ああ、薄着で寒そうだったし」
私がこれって言っただけで何が言いたかったのかわかったみたい。
なんかさり気ない優しさが妙にくすぐったかった。
「ねぇ、もしかして私が起きるまで待っててくれたの?」
「だって森崎も俺が起きるの待ってるつもりだったんだろ?」
反対に聞かれてしまった。
確かにそうだけど、
「うん、まあ……。
あ、これありがとう。永瀬君が風邪引いたら私の責任だね」



