「急用で先に帰ったよ」
「そっか。なら俺たちも帰ろうぜ」
「うん」
私がそう言って壁に預けた身を起こすと、圭太は私の背中をポンッと押して歩くのを促す。
そして私たちは夕日を背に家へと向かって歩きだした。
「今日はお疲れっ。初めて試合観たけど楽しかったよ」
誘われて来たとはいえ観ていても終わった今でも、とてもワクワクした気分はおさまらなかった。
観ていてスカッとしたのは本当で、嫌な事も忘れるほど面白かったし。
理乃もすっごく喜んでいたから満足だった。
「それならよかった。またいつでも観に来いよな」
「うんっ」
学校の帰り道とは違うので私たちは街中を通って帰る。
休日とあってか親子連れやカップルが多く、賑わっていた。
交差点が青になる度に人の波が作られていく。
圭太の傍を歩いているだけで精一杯だった。



