「よかったね、理乃」


「もうっ!からかわないでよ」



ニヤついて肘でつつく私に顔を赤らめて理乃が怒った。



「行こっ?」


「はいはい」



照れを隠すように先を促す理乃について行こうと一歩を踏み出そうとしたら、



「あっ……」



目の前に大きなものが立ちはだかった。





「ちょっといいかしら?」



私の嫌な予感は当たった。


周りの子より一歩前に出ている彼女がボス……もとい仕切っている子なのだろう。



強気な態度と気品の良さ、子分を連れてるあたり一目でお金持ちのお嬢様だなってわかる。



隣の理乃も状況を察したらしく困り顔になっていた。


とっととこの場から去りたい。





「あのー、何か用ですか?」



私は彼女たちの顔色を伺うことなく投げ遣りに言葉を放った。