夕方になり試合が終わりになると、観客も一人また一人と帰っていく。


圭太たちは夕日を背にしてストレッチしていた。




「そろそろ帰ろっか」


「え?圭太に会ってこなくていいの?」



私は不思議に思って理乃に聞いた。


せっかく応援しに来たのに大して話さないで帰るなんて勿体ない。



いつもは『残る!』って言いそうなのに珍しすぎる。




「うん。ファンも多そうだし今日は見れただけで満足」



ふと、きゃあきゃあ騒ぐ声が耳に入り下を見ると出入口にたくさんの女子。


たぶん皆圭太待ちだろう。



圭太に熱い視線を送る彼女たちに気づかないフリをして、我慢して笑う理乃の姿に私は切なくなった。



こんなの見せられたら誰でも落ち込むよ。


私だってあれが颯だったら苦しくて辛くて見ていられないもん。



むしろ最後まで試合を見ずにこの場から走り去りたいくらい。


でも理乃はそんなことしない。



それが理乃なりの圭太への想いの現し方なんだ。