試合に出るみたい。
仲間も寄ってきて声をかけているけれど、圭太は元気そうな顔を見せていた。
「よかった。平気そうだね」
「よかったよ~。さっきは本当にびっくりしたもん」
理乃はホッと胸を撫で下ろす。
私も圭太の顔を見て安心した。
だってサッカーのルールだって詳しく知らないし、今日だって初めて観に来たのに。
こんな危ないプレーを間近で見たら焦るって。
でも、圭太はこういうスポーツで頑張っているんだって改めてわかったかも。
試合はさっきのファールから一時中断となっていて、うちのフリーキックから始まる。
圭太ともう一人の子がボールの前に立っていて、どちらが蹴るかわからない。
二人が同時に走りだし、もう一人の子が蹴るフリをする。
そしてすぐ後に圭太が蹴った。
ボールはきれいな弧を描いてキーパーの手を掠め、ゴールに吸い込まれていく。
ーーピピーッ
同時に試合終了のホイッスルが鳴り響いた。



