……そういえばここに来てからずっと思ってた。


初めて観に来たけど、練習試合にしてはギャラリーが多くない?




私は不思議に思って、顔の向きは変えず試合を見ながら理乃に話しかける。




「ねぇ、なんか人多くない?」


「えっ?ああ、これ皆圭太クン目当てだよ」





……はぃ?



「こっ、ここにいる人全部ぅ??」



応援の声に混じって私の変な叫び声が上がった。


理乃も煩いとばかりに耳を塞ぐ。



ついでに立ち上がったから、後ろに座っていた子がイラついたような視線を私に向けた。


ゴ、ゴメンナサイ……



私はおとなしく座り直す。




「正しく言うと、少なくとも若い子たちは圭太クン観たさにここに来ているのよ」



はぁ、とため息を吐きながら私を見る。



「そう、なんだ」



私も歯切れの悪い返事を返しながら試合に目を戻した。