と、不意に圭太がこっちを向いて目が合った……ような気がして一瞬戸惑う。
どうしたんだろ?
でも、もしかしたら私じゃなくて観客皆を見ているのかもしれない。
「圭太くーん!頑張ってっ!」
「ファイトッ‼」
理乃の他にも、うちの生徒が傍で応援している。
もう一度見ると、もう圭太はボールだけを見ているようだった。
私は気を取り直して声をはりあげる。
「負けるなよーっ‼」
ーーピピーッ
その声とほぼ同時に試合の合図が響き渡った。
うちの学校は青いユニフォームで、相手は白。
一つのボールをめがけていくつもの選手が取り合ったりかわしたりしている。
その中でも圭太はかなり目立っていた。
視野が広いのか次々と敵をかわしてパスをしていく。
そのパスも絶妙で相手に渡り易いような位置とタイミングでくる。
そのカッコいい姿に観客も悲鳴のような声を出していた。



