「ありがとう」
「別に」
颯は私を座らせて保健室の棚から包帯を取り出し、テーピングを取ってから湿布を貼ってその上から巻いてくれる。
外は閉会式でも行われているのか、先生の声と生徒の騒ぐ声が微かに聞こえていた。
うわ~っ。ちゃんと巻いてくれてある。
颯って意外に器用なんだなぁ。
感心しながら見ている私に気づいていないのか、颯は使った道具を黙って片付けている。
「心配かけてごめんね」
「いや」
シーンとした空気が二人の間に流れる。
この空気が嫌ってわけじゃない。
むしろ落ち着く。
そうだ。私、今までたくさん迷惑かけてお礼さえも言っていない。
なんだろう……今なら自然に自分のことを話せそうな気がする。
「……颯」



