目の前には意志のこもった目をしている颯が見えて、軽く頷くのが見えた。



それに私も応えてバトンを託す。


みるみる遠ざかっていく颯の後ろ姿に、私は呼吸を整えながら視線を送った。




あっ、抜いた!


ギリギリの所で颯は1位のまま次の走者にバトンを渡す。





その後も青組と白組が抜いたり追い越されたりを繰り返していた。


私は両手を顔の前で組んで目を閉じる。




お願い勝って……



パーンッ!とゴールの合図が鳴り、ゆっくりと目を開ける。


観客も黙り一瞬学校全体が沈黙に包まれた。







『1位は……白組です!』




うそ……勝った?



「やった~莉子! これで白組も逆転優勝だよ!」



傍にいた希穂が喜んで飛び付いてきた。