ハァハァ、いつもよりかなり息が上がっている。
痛みで意識がクラつく中、なんとかバトンは渡せた。
後は理乃や颯に任せるしかない。
ちょっとだけ離されただけだから周りは私の怪我には気づかなかったみたい。
私は痛みを堪え腰を下ろして成り行きを見守る。
理乃の走りは完璧だった。
一気に2位に躍り出る。
そしてアンカーの颯にバトンが繋がる。
やっぱり陸上部員だけあり、追い抜きはしないものの確実に距離は縮まっていた。
初めてまともに颯の走りを見た私は胸が高まる。
フォームが綺麗であんな生き生きとした顔見たことない。
でも、ここまでが限界だった。
ーーパンッ!
ゴールテープが切られ、1、2メートルの距離で後一歩及ばず私のクラスは2位だった。
「惜しかったね」
退場していると理乃が後ろから声をかけてきた。



