ーートントントントン
私の耳には階段を登る自分の足音しか聞こえない。
話し声も昼間とは違って小さく、どの教室にも残ってる生徒はまばらだった。
学校の屋上は普段は鍵がかかっている。
でも、この時期……体育祭が近くなると応援団の練習場所に使われたりなどで開いている事が多かった。
……着いた。
屋上のドアの前で立ち止まる。
いったい誰なんだろう?
好奇心と緊張が入り交じった感覚が私を襲う。
意を決してゆっくりとドアノブを回した。
ーーギィッ
ドアの隙間から少しだけ顔を覗かせてキョロキョロしたけど。
視界には人の姿、影さえも見当たらなかった。
誰もいない。裏の方かな?
あまり足音を立てずに私はドアの裏の方へ足を進めた。
……う―ん、いない。もう帰っちゃったのかなぁ。
結局誰も見つけることはできなくて肩を落とす。



